院長の施術に対する考え方

2022年04月9日

施術に対する考え方

痛み等について
痛み等の症状を消すことだけを求める、あるいは症状を消すことを目的にしている施術では一時的解消の繰り返しで慢性疾患は改善しません。病院医療だけでなく多くの施術家もこのような施術を行っているため、慢性疾患を改善することができず悩んでいる方が多いのが現実なのです。実は私も現在の施術法に出会うまでは、そのように悩んでいる施術家の1人だったのです。私は現在の施術法に出会うまでは、痛み等の症状をその場で出来る限り取り除くことを目標として施術を行ってきました。症状を消すことが施術であると私も思っていたのです。来院された方の症状をその場で少しでも取り除かなければ納得してもらえないとも考えていました。

症状の軽い方はこのような施術でも改善するのですが、症状の特に重い方についてはその場で痛み等の症状が消えたとしてもすぐに再発し一時的解消を繰り返しているだけでした。

これは症状という結果だけを取り除く施術であり、原因を施術していないからです。

症状はすべて意味があり、改善するための生体反応なのです。
例えば、痛みについては痛みという警報により危険を回避したり休養をとることで生体は回復を図ろうとしています。風邪をひいて熱がでるのもウイルスや細菌を退治するためです。咳や下痢も体にとってよくないものを体内から排出しているのです。

このように症状は生体の健康維持機構が働いている結果ですから、症状を消すことは本来の生命力を弱めることにつながります。一時的に症状は消えてもかえってその原因は増強することで症状は繰り返し出現するという悪循環を繰り返し、生体機能を弱めていくのです。つまり、痛みを消せば危険を回避できず休養をとることもできないため症状は悪化します。風邪をひいて熱がでているときに熱を下げればウイルスや細菌は体内に残るため風邪は長引きます。咳や下痢も同じです。

私どもは、痛み等の症状を「改善するための生体反応」ととらえていますので、症状を障害とは見ません。
症状を大事にします。

良くなっているときの痛み等について
痛みには、「異常事態を知らせる警報としての痛み」があります。
この痛みにより危険を回避したり休養をとることで生体は回復を図ろうとしています。

もう一つ「からだ良くがなっているときの痛み」があります。
これは回復過程で起きる痛みです。
回復に伴い痛みを感じる神経も回復することから起きる痛みです。
痛みを感じる神経は回復不可能な状態では鈍麻されているのですが、からだが良くなってくると
この痛みを感じる神経が正常に感じるようになるのです。
このような時には痛みはあってもからだ全体の体力は向上しています。

この2番目の「からだが良くなっているときの痛み」について説明したいと思います。

例えば当院でも多い障害である交通事故などによるムチウチでは事故直後には、気分が悪かったり、吐き気がしたり、首や手に力が入らないなどの症状が強く出ますが、痛みはそれほど感じません。
しかし、日数の経過とともに神経系が回復してくると、首や背中に痛みが出てきます。
この痛みが、痛みを感じる神経が回復してきたことによる痛みであり、からだは確実に回復しています。
痛みは出てきますが、気分が悪かったり、吐き気などの症状は消え、首の動く範囲が拡がり首や手に力が入るようになっています。

この時に痛みだけに注目してしまうと改善しているかどうかが全く分からなくなってしまいます。
今回は痛みについて説明しましたが、すべての症状が痛みと同様です。
通常は回復に伴い症状も改善してきますが、症状がぶり返したり、これまでになかった症状が表れることがあります。
病気や不調には、地層のように積み重なった問題があります。地層の表層を取り去ると、その下にある地層が現れ、その現れた地層を取り去ると、さらにその下の地層が現れます。また、麻痺していた神経が回復することによりこれまでに感じていなかった痛みが表れる事があります。

このように症状だけに注目してしまうと改善しているかどうか全く分からなくなります。
回復している時には、すぐに症状が変化しなかったとしても、筋力が強くなり、体力も確実に向上します。
また、症状の質が変わってきます。

症状と健康度は別のものであることを認識することはとても重要です。

何が体を良くしているのか

病気やその他からだの異常を治しているのは施術家ではありません。

改善しているのはすべての人が持っている自然回復力です。

私も施術家が治すなどということはおこがましいことであると思っています。

私の施術は皆さんが持っている自然回復力を最大限引き出すよう手助けしているだけです。

皆さんが自分の力で治しているのです。

生体は常に自分で改善しようとしています。

人体の生命現象、生命機能に不足はありません。

生体は常に我々人智の及ばない高次元の治療を行っているのです。

病気やその他からだの異常を治すために自然回復力に勝るものはありません。

自分のからだを信じてください。

このことを理解することは改善するためにとても大切なことです。